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X線とは

X線についての歴史や性質、X線装置導入における届出や関係法令、測定器などについての解説

アイビット

HISTORY OF X-RAYSX線の歴史

レントゲン博士によって発見

X線は1895年10月南ドイツのレントゲン博士によって発見されました(ウィルヘルム・コンラッド・レントゲン,1845-1923)。

レントゲン博士は陰極線(電子線)の研究を行っていたところ、放電管から少し離れたスクリーンが光っていることを発見しました。

さらに、放電管とスクリーンの間に物体を入れると、スクリーンに物体の影が写ることがわかりました。これがX線の発見です。

X線の歴史 X線の歴史

レントゲン博士、ノーベル物理学賞受賞

上記の発見により、1901年にはレントゲン博士に第1回ノーベル物理学賞が授与されました。 レントゲン博士はノーベル賞以外の賞はすべて断り、X線に関する一切の特許を取得せず、X線が人類のために広く利用されることを望みました。

イメージ出展元: ヴュルツブルク大学 http://www.fh-wuerzburg.de/roentgen/

ヴュルツブルク大学ではレントゲン博士の偉大な功績が保存されています。

ヴュルツブルク大学ではレントゲン博士の偉大な功績が保存されています。

PROPERTIES OF X-RAYSX線の性質

X線は電磁波の仲間

X線は、電波や太陽の光と同じ電磁波の仲間です。電磁波は、空気中や物質の中を一定の波を打ちながら直進する性質があります。

X線は電磁波の仲間

X線の性質

・五感(視、聴、触、臭、味)で感じない
・波長が短いために物質を透過する性質を持つ
・密度が高いものは透過しにくい
・厚みが厚いものは透過しにくい
・原子から電子を剥ぎ取る(電離)性質がある
・化学作用(写真の感光)がある

X線の性質

X線の透過量と原子量の関係

原子量が大きいものほどX線を遮蔽する能力が高いという性質があります。

X線の透過量と原子量の関係

X線が発生するしくみ

X線は、加速した電子がターゲットに衝突する際に発生します。

X線が発生するしくみ

マイクロフォーカスX線

X線の焦点径が特に小さいX線管です。焦点径が小さければ拡大率を上げてもボケず、解像度が高くなります。

マイクロフォーカスX線

X線装置の倍率(拡大率)の計算方法

X線の倍率はレンズなどで可変させることは不可能です。
試料と撮像面を物理的に離すことが必要になります。

X線装置の倍率(拡大率)の計算方法

X線画像は影絵と同じ

影絵を大きく拡大しハッキリと見せるポイント
1.光源を小さく→X線の焦点径は小さい方が良い
2.試料は光源に近く→透過型ターゲットが良い
3.写像面から遠く試料から投影面は遠く→ 卓上機では倍率が得られない

X線画像は影絵と同じ

可視光線(光)とX線の違い

可視光線は波長が長いため、原子間を通り抜けることが出来ず反射します。それに対し、X線は波長が短いため原子間を通りぬけることが可能です。

可視光線(光)とX線の違い

X線は鈍感

X線が物質を通り抜けるとき、X線エネルギーが散乱(分散)され濃淡の差になって表れる(コンプトン散乱)により、X線では微小な凹凸は検出しにくいという性質があります。

X線は鈍感

X線管の管電圧について

線管の両極(陰極 vs. 陽極)に印加する電圧であり、X線の発生エネルギーとなります。管電圧を上げると、電子の加速スピードが速くなり、陽極に衝突するエネルギーが増加。管電圧を高くすると、強いエネルギーのX線が出力されます。

X線管の管電圧について

X線管の管電流について

真空管内で発生する電子1個からX線1本が発生します。ゆえにX線管にかける管電流を2倍にすると、電子は2倍、X線も2倍発生することになります。
X線管電流とX線量は正比例するので、X線の量は「管電流」に正比例して増減するということになります。

X線管の管電流について

X-RAY TUBE TYPEX線管の種類

X線管の種類

X線管には大きく分けて「開放管」と「密閉管」の2種類があります。

X線管の種類

開放型 vs 密閉型

開放型と密閉型にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

開放型

高解像度、高倍率が可能であるが、その性能を維持するには保守が必須
【メリット】
・高倍率、高解像度、高出力
1)X線焦点の微細化→解像度向上
1μm→0.4μm→0.2μm 2)透過型ターゲットの採用により高倍率が可能
【欠点】
・大型、真空系など保守部が多い
・装置の大型化、高額、保守費用、保守工数の管理が必要
・フィラメント交換(200~500h)
・真空ポンプ、ターボポンプ、真空ゲージ、その他の保守必須

開放型 vs 密閉型

密閉型

メンテナンスフリーで使用できるため、扱いやすい。
【メリット】
・小型、メンテナンスフリー
・性能vs.寿命のバランスが重要
・X線焦点の微細化→5μmくらいが限度
・X線管の寿命7,000~10,000h
・安定して使用できる
【欠点】
・X線管の管球交換時に発生するコストが高い。しかし10年間使用した総コストで見た場合は開放管と同等もしくはそれ以下になる。

密閉型

密閉型と開放型X線装置の違い

従来は「高倍率=開放型X線管」でしたが、その要因は「透過式ターゲット」によります。密閉型X線管で透過式ターゲットを採用したFX-300tRシリーズでは開放型X線管と同等の性能を有します。

密閉型と開放型X線装置の違い

ランニングコストの比較

1日8時間稼働、年間250日稼動として年間保守費用を算出した比較です。

※使用時間に応じて保守費用は変動します。

開放型

  • フィラメント交換:250日*8時間
    =2000時間/年
    2,000時間/300h=7回
    @50,000×年7回=350,000円
    工数:交換作業4h,キャリブレーション作業10h=合計14h×7回/年=98h
  • ターゲット交換:5,000時間/8時間
    =625日
    250日/625日=0.4回
    @200,000×年0.4回=80,000円
    工数:交換作業 5h/2.5=2h
  • ターボ真空ポンプOH:10,000時間/8時間
    =1,250日/250日=5年
    @600,000/5年作業 6h/5=1.2h=120,000円
    工数:交換
  • ロータリー真空ポンプOH:10,000時間/8時間
    =1,250日/250日=5年
    @400,000/5年=80,000円
    工数:交換作業 6h/5=1.2h
  • 真空ゲージOH:80,000時間/8時間
    =1,250日/250日=5年
    @400,000/5年=80,000円
    工数:交換作業 6h/5=1.2h

合計 35万円+8万円+12万円+8万円+8万円=71万円/年

【工数計算:1回のフィラメント交換、交換後のキャリブレーション作業に
掛かる時間をコスト計算】
→年間掛かる作業工数
フィラメント交換作業4h,キャリブレーション作業10h=合計14h×7回/年=98h
その他作業:98h+2h+1.2h+1.2h+1.2h=103.6H/年
※)開放管はこの工数を掛けないと性能を維持できない

【開放管のX線保守工数を金額に換算】
開放管のフィラメント交換工数、交換後のキャリブレーション工数を金額計算すると以下になる。
時間単価@3,000.-で計算
→103.6h×@3,000=310,800.-
部品代:710,000+310,800=1,020,800

密閉型

  • 250日*8時間
    =2,000時間/年
    管球寿命:約10,000時間
    10,000時間/2,000時間=5年間
    管球交換費用:約300万円(FX-300tRX2の場合 ※機種によって多少異なる)
    300万円/5年=60万円/年

開放型X線でしか見えなかった部分を密閉型X線で可能に

開放型X線でしか見えなかった部分を密閉型X線で可能にしたX線装置がFX-300tR2、FX-300tRX2、FX-400tRXです。

FX-300tR2
FX-300tR2

幾何学倍率900倍
BGAのクラックも観察可能

幾何学倍率900倍BGAのクラックも観察可能
FX-300tRX2
FX-300tRX2

幾何学倍率1000倍
BGAのクラックも観察可能

幾何学倍率1000倍BGAのクラックも観察可能
FX-400tRX
FX-400tRX

画像解像度2μm
スノーホールのクラックも
観察可能

画像解像度2μmスノーホールのクラックも

密閉型X線装置性能比較

アイビット製「FX-300tRX2」と他社製品の比較です。

アイビット
FX-300tRX2
A社 B社 C社 D社 E社 F社 G社
幾何学倍率 1000倍 24倍 20倍 22倍 23倍 20倍 15倍 12倍
表示倍率
(デジタル倍率)
6000倍 160倍 120倍 150倍 140倍 120倍 100倍 80倍
ななめ観察時倍率
50-60°想定
500倍 7倍 5倍 10倍 3倍 5倍 3倍 -
X線出力 90kV 90kV 90kV 90kV 90kV 90kV 90kV 90kV
裏面キャンセル - - - - - - -
水平300層スライス - - - - - - -
JIMA 5um観察 - - - - - - -
チップカウンタ - - - - - - -
1click 360°
スノーホール観察
- - - - - - -
スノーホール
重鎮率測定
- - - - - - -
基板内装
スライス観察
- - - - - - -
斜めCT - - - - - - -
自動検査
※オプション機能含む
- - - - - - -

他社密閉型X線、開放型X線管との比較

FX-300tRX2のX線画像は開放型3000~5000万円クラスX線と同等もしくはそれ以上のX線画像品質です。

他社密閉型X線、開放型X線管との比較

NOTIFICATIONX線装置導入における届出について

アイビットのX線装置を導入する場合の取得資格について

X線の実効線量当量の合計が基準値以下であり、かつ身体の一部が装置内に入れること無しで検査運用できる場合は「X線作業主任者」の選任は要しない。(昭64・1・1 基発第一号)※)労働基準調査会発行:安衛法便覧1 平成14年ハイジャック防止用のX線検査装置を解釈事例として述べています。
なお、適正な保守管理のために必要な知識を有する者を「管理責任者」として選任することが望ましい。とされています。

アイビットのX線装置の管理区域について

1)実効線量当量の合計が1.3ミリシーベルト(mSv)/3ヶ月を超える区域は「管理区域」として標識によって示さなければならない。
電離則の第2章「管理区域ならびに線量当量の限度ならびに測定」、第3条「管理区域の明示等」に記載されています。

I-BITのIXシリーズの外部X線量は1μSv/h以下となっているため次のような計算式が成り立ちます。

1日8時間の使用で週40時間の作業を行った場合
1(μSv)×40(時間)=40μSv/週、 3ヶ月を13週で計算すると13week×40=520μSv/13週
このように通常の使用状態では、電離則の定める値1.3mSvの約1/2となり、管理区域は存在しません。

X線の被曝限度について

2)放射線業務に従事する労働者の線量当量限度は50ミリシーベルト/年とする。
電離則の第2章「管理区域ならびに線量当量の限度ならびに測定」、 第4条「放射線業務従事者の被爆限度」で記載されています。

担当者が1年間I-BIT製のX線装置を使用したとして計算すると、
0.04mSv×52週=2.08mSv/年
1年間同じ人が毎週作業を行ったとして約2.1mSv、 電離則の定める50mSv/年の1/24程度のX線量です。

RELEVANT LAWS AND REGULATIONSX線関係法令

放射線を取り扱うには以下の資格が必要となります。

・診療放射線技師法:診療放射線技師(レントゲン技師)
・核原料物質、核燃料物質および原子炉の規定に関する法律:原子炉主任技術者
・放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律:放射線取扱主任者(第1種、第2種)
・電離放射線障害防止規則:ガンマ線透過写真撮影作業主任者
・電離放射線障害防止規則:X線作業主任者

RELEVANT LAWS AND REGULATIONSX線の応用

X線の性質を応用した各種装置

・医療用X線透過装置 胸部X線写真、歯科X線写真など
・医療用X線CT(Computer Tomogram)装置 断層X線写真(脳の断層撮影など)
・工業用X線透過装置 非破壊検査(構造物、溶接部など物質内部の観察)
・工業用X線CT装置 断層非破壊検査(断層撮影による観察)
・X線回折装置 物質の結晶構造の解析
・X線分光装置(蛍光X線分析装置) 物質の構成元素の分析

X線の応用

RELEVANT LAWS AND REGULATIONSX線測定器の種類

電離箱型サーべイメータ

測定器の種類

1)電離箱型サーベイメータ X線の測定に主に用いられる測定器 X線を取り扱う場所や管理区域内で 人の立ち入る場所の空間線量 を測定するのに用いる。

注意事項 サーベイメータには指向性があります。

フィルムバッチ/ガラスバッチ

1)実効線量当量の合計が1.3ミリシーベルト(mSv)/3ヶ月を超える区域は「管理区域」として標識によって示さなければならない。
電離則の第2章「管理区域ならびに線量当量の限度ならびに測定」、第3条「管理区域の明示等」に記載されています。

I-BITのIXシリーズの外部X線量は1μSv/h以下となっているため次のような計算式が成り立ちます。

1日8時間の使用で週40時間の作業を行った場合1(μSv)×40(時間)=40μSv/週、 3ヶ月を13週で計算すると13week×40=520μSv/13週このように通常の使用状態では、電離則の定める値1.3mSvの約1/2となり、管理区域は存在しません。